HTC vive で VRChat やってみた!

■買ったけど使ってなかったHTC vive

 まだ30代半ばなんで年寄りぶると誰かに怒られる気もするんですが、しかし世の中のあらゆる新しいものに興味が薄れ、「刺激に対して鈍感になったなぁ」と感じ始めるのもこの頃合いなんじゃないでしょうか。俺だけかな?まぁ統計とか知りませんけど…。

 一応ね、買ってあったんですHTC vive。リリース直後に。ちょうど狼少女と一緒が発売されたあたりだったのでウホホーイとポチった覚えがあります。

日本でのリリース直後に手に入れたvive

 2016年半ば、世はVR押せ押せ機運だったこともあり、Twitterをはじめ周りから「seismicさん次はVR作品ですね!」と耳タコ。なのだけど、自分としてはやっと3年がかりの作品が出た直後、そして新たな創作の前にもやることが山積しておりまして、結果的に7月初頭に届いたviveはちょっと遊んだだけで長らく寝かせておりました。

 そもそも当時住んでた部屋は(水槽を増やしすぎたのもあって)VR…とりわけ広い空間で遊べることが最大の売りであるviveにはちょっと心許ない状態だった。また、何かVRコンテンツを開発するにもまず最低限Unityの知識が必要とのことで、お正月の一発芸コンテンツ作りで僅かな期間Unityに触っただけの自分としては「VRはUnityでゲーム1本作ってから手を付けようかな」と控えめな考えでした。

 そうこうしてるうちに2016年10月にPS4のPSVRも発売。気鋭のHTC vive、新しくなったOculus Rift、初のコンシューマ向けPSVRが出揃ったことでVR元年なんて叫ばれてた。しかしユーザ目線では気が気じゃない。それぞれ6~10万円する上、規格上の互換性があるわけでもない。どれを選べばコンテンツに不自由しないのか…或いは今後凄いペースで新ハードが出てどれもすぐに陳腐化してしまうのでは?買うこと自体が時期尚早?と、迷ってしまうような状態だった。

 viveをポチりつつも少しずつ埃を被らせはじめていた自分は「これPSVRが覇権ちゃうん?でかい会社が金投入してコンテンツ作るだろうし。でも品薄で買おうと思っても買えないしな~」とぼんやり思いつつ…かといって別段ロンチの時点でやりたいゲームもなく。やや興味があった女の子とイチャイチャする『サマーレッスン』もいざリリースされてみれば予想通りパンツすら見れず。やはりコンシューマの限界はそこか~と。

 その後も暫く「VRならでは」なコンテンツはあまり見つけられず。ひとつだけ興味があったのはボトムズのアレ。VRヘッドセットに軸足を置かずにあくまでヘッドトラッキング付きの映像出力装置として活用し、搭乗可能な舞台装置や音響との組み合わせで新たな体験と臨場感を提案する…というアミューズメント施設ならではの趣旨が上手いと思った。過去の映像作品のリバイバルブームが長らく続いてるけど、こういうアプローチでならまだまだてこ入れ出来る作品が多そうだと思った。

 

■再始動

 時は流れて2018年1月ナウ。去年はまぁ…自分としては作業配信の本格化やバイク復帰など、それなりに個人的に新しい試みが多かったし、引っ越しで梱包したままのHTC viveのことはすっかり忘れてました。世の中のVRも「そういうエンタメも有る」ってポジションに収まってしまい、世のあらゆるエンターテインメントを過去の物するような『真のキラーコンテンツ』的パワーはもはや無さそうに感じていた。勝手に。俺だけかもしれんけど。

 そう…暫くはそうだったんだけど、昨今のバーチャルYoutuberの動画を見たり、VRChatのカオスな盛り上がりを見ているとなんだかムズムズしてきた。手元にvive有るんだし、このまま段ボールの中に詰め込んだままにしておくのはもったいない!

「待たせたな!」

 「VRはUnityでゲーム1本作ってから!」とか悠長な事は言っとらんでまずVRChatの体験から入ってみようとね。作業部屋の使わないものをレンダリング部屋に移して縦3m横2mの空間をなんとか確保し、viveのセットアップを完了。そしてVRChatの世界へ。

 全く勝手がわからないまま飛び込んだ初VRChatだけど、周りの人達(たぶんガイジン)とじゃれあうだけで結構楽しい!思えばVRのゲームは、スターウォーズのライトセーバーでビームを弾くと、画面にお絵かきしたり、空間中のアイテムを動かす程度のゲームしか遊んだことが無かったんですよね。なのでviveコントローラの左右にアバターの両手が表示され、自分の体に連動してアバターも動く…といった体験だけかいつまんでも新鮮だった。

 「あれっ、これってもしかしてモーションキャプチャじゃね?」…そう3DCG歴20年余りでありながら、自分が3DCGを志す前から存在するモーションキャプチャーという技術…ずっと3DCGと寄り添ってきたその技術に…思えば触れる機会はこれまでありませんでした。しかし上半身だけとはいえ、今まさに俺…モーションキャプチャってるじゃん。しかもネットワーク越しにリアルタイムで他人に動きを見られている。

 「ひょっとしてこれは凄い事なんじゃないか?楽しいことなんじゃないか?」と、自分の眼前に今巻き起こってる出来事の分析が始まった。それはまるで1足す1が2だということや、砂糖を舐めれば甘いといった当たり前の事象に改めて感動してるような妙な気分だった。

 「こりゃ自分でアバター作ったらもっと楽しいに違いない」そう思って着工を決意した。手元にあるUnity用に作ったモデルは申年の年賀イラストネタで作ったサルゲッチュのさやかだけなので、ひとまずそれを弄ろう…。

 

■VRChat アバターの製作

 ネットで漁ってみるとVRChat用チュートリアルやTipsはかなり充実していた。そしてPicze.tvで作業配信をしているとVRChatに詳しいガイジンさんが様々なアドバイスをくれる。相変わらずチャットは全部英語(笑)だが心強い。いやはや、このタイミングで始めたのは正解だったかもしれない。

 というのもですね…自分は取説や仕様書など、ドキュメントの類いを読むのが苦手なんです。ほんとマジすげー面倒臭い。当てずっぽうで「どうにかなれ~」で突き進み、やる気エネルギーゲージが尽きたら「うん、わかった、もういい」ってなるダメなところがある。流石に人様から受けた仕事はその限りでは無いけど、このVRChatアバター製作は自分にとってまだホビーの世界。どの程度の熱意を注ぐべきかまだ計りかねてる。しかしアバターの製作でぶち当たる疑問点に対し、興味と熱意が尽きる前に答えが見つかる程度には資料もアドバイザーも充実してる。こんなにゆとりでいいんですか?フロンティアな人たち本当にありがとう。

 VRChatの世界には自作アバターの動作チェックのためのテストルームがあり、大きな鏡や持ち運べるアイテム、座れる椅子などが置かれている。そこを何度も往復してモデルの問題点をチェックしてはUnityで修正…を繰り返した。自分の体に連動して動く鏡の中のさやか…見てるだけで楽しい。

 未完成のアバター故になるべく人目を避けるためにログイン後は急いで無人のプライベートインスタンスを作って逃げ込むのだけど、その僅かな隙に小さいアバターの人がやってきて拾ったアイテムを「はいどうぞ^^」と渡してくる。楽しい楽しい。この中途半端な自作アバターでもいいから、今すぐVRChat内を探訪したくなる。しかし、周りの良く出きた表情豊かなアバターを見ると「早くまともなアバター製作の技術を身につけたい。そしてちゃんとデザインから起こしたオリジナルアバターを作れるようにもなりたい」という気持ちもまた新たになるのだった。

 そしてついに、手足や指といった標準的なリギング、DynamicBoneによる揺れもの、トゥーンマテリアルの適用、ブレンドシェイプによるマイクと連動したリップシンク、そして自動アイトラッキングといったVRChatアバターとして一通りの機能を備えたさやかが誕生した(目の構造まだ要修正だけど)。

 エモート機能も面白い。普段はユーザの動きをキャプチャーした動作を行うアバターに特定のモーション(例えばダンスだったり、撃たれて死んだような動き)を呼び出して再生する事が出来る機能なのだが、自作モーションをアサインすることもできる。上の動画はこれのスカートめくった後のリアクションを持ってきたもの。いまどき良く出来たモデルは誰でも作れる時代だし、モーションで差を付けるってのは有りかもしれんな~と思えますね。エモートのみならず、待機や歩行のモーション、表情などもオーバーライド出来るそうです。いいじゃないか(新城直衛 画像略)。

 久々のUnityだったので思い出しつつやってみたわけですが、VRChatのアバター製作の様々な作法はUnityで人型キャラを扱う標準的な手法に則ってるので、今後Unityでスタンドアロンのリアルタイム3Dゲームを作る上でも役立つ…いわば自分にとってUnityのリハビリにもなっている。そういう意味でも今回の試行は価値が大きい。

 

■VRChat ワールドの製作

 気をよくしてワールドの制作にも手を出した。まだぜんぜん触りの部分なのだけど、これがまた面白い。むしろワールド製作の方が面白いかもしれない。アバターは着ぐるみだけど、ワールドはつまりアトラクションなわけです。来客に楽しんでもらったり、驚いてもらったり、和んでもらえる空間・仕掛けを自由に構築して公開できるわけだ。こいつぁ凄ぇや!

 ひとまずテストがてら『狼少女といっしょ』のお茶の間のセットをインポートしただけのワールドを作り、その中に入ってみた。ただそれだけなんですけど…感動しました。

 3年がかりでリリースしたゲームの幾度も3dsmax上で開いて見飽きたシーン。しかも正しいマテリアルやテクスチャが貼られておらず、まともなライティングすらされてない状態であるにもかかわらず…なぜ部屋の中に入るだけでなんでこんなに感動できるんだろう。臨場感…そこに居る感ってやつの説得力は言葉では言い表せず、そして平面モニタでは伝えきれないものがありました。

 今度は作品で登場したキャラモデルにポーズを取らせてフリーズし、単純に配置してみた。そしたらね…居るんですよ、目の前に。リルが。うさだが。アリスが。そりゃ置いたんだからモデルが『有る』のは当然なんだけど…『有る』じゃなくて『在る』って感じなんですよね。当然動いてさえもいないんだけど、自分の前に等身大で存在して三次元的に把握出来る事、目前に居て触れられる(触感は無いけど)こと。たったこれだけの事でこうも脳がバカになるのか…と。すご~い。

 自分にとって長年3DCGというものは動画を作るための手段であり、道具だったんです。キャラモデルは『絵』を出力するための…言わば版画の原版ですかね?芋版画なら芋でしかなかった。映像・動画こそが最終出力。それでよかった。芋は芋なりの役目をちゃんと果たしてくれていたから、それ以上を求めなかった。そもそも『目の前にキャラが現れたらな~』なんて考えたこともなかった。

 そして世にVRの作品が登場し、VRの世界に3Dモデルを投影してはしゃいでいる人が溢れはじめても、その体験は自分の想像を越えはしないと思っておりました。本当に毎日、モニタ越しにマウスで3Dキャラクターモデルを転がしてきたんで…。頂点をあっちゃこっちゃ引っ張り、面を分割してモデルを作り、生皮を剥いだようなUV展開画像と睨めっこし、表情用のモーフターゲット作りでは生首がずらり並び、ひとたびモーションが破綻すれば交通事故死体みたいにメチャクチャなポーズをとる3Dのキャラクターモデル。

 世に製品としてお出しされた作品をユーザの視点で見るだけでは決して伝わらない部分も含め、中も外も腐るほど見て見て…もうすっかり見飽きてるはずだでした。それを今更VRヘッドセット越しに見たからって何なの?平面のモニタ越しに見るのとそこまで差があるの?感動するの?しないんじゃない?きっと俺「あ~そういう感じね」って思うだけだよね…と高を括ってた。しかも今回に限ればフリーズしたモデル置いただけ。こんな手間の掛からない作業で感動できる奴はそもそも感性が安すぎるでしょ。

 感動した! はい、安い感性でした!!

 

 いやまいったね…家の中で段ボールに入ったまま1年半腐らせてたviveと4~5年前に自作したモデルを引っ張り出しただけでこんなに感動出来ちゃうなんて。まるで四次元ポケット買ったのにタンスの中に放置してた気分だよ。

 「狼少女といっしょVRが出たら世界から戻ってこれなくなるわ!」って冗談か本気かわからん言葉を日本人からもガイジンからも言われてて「ア・リ・ガ・ト ( ´◟`)?」てな感じだったんですけど…正直…「こんなの俺が戻ってこれなくなるわ!うさだの等身大フィギュア!そんなもん置けるなら置くわ!ふざけんな!」ってなる。なった。すまん。

 残念な事にここに貼り付けたキャプ動画からは多くの事は伝わりません。これじ世に溢れるVRのキャプチャ動画を見て俺が「そんなもんね」と思ったのとさして変わらない。やはりVRヘッドセット越しに見ないとダメなんですね。そりゃ他に体験の手段がないもんな…未だにそれなりの値段もしますわ。しかしながら、もしこの動画でも楽しさや興奮を覚えたなら貴方は間違いなくHTC vive、或いはそれに相当するVRデバイスを買って損は無いと断言できます。

——

 「このworldって今入れますか?」という問い合わせも既に有ったんですが、今は背景もいい加減なんで流石に非公開です。しかし、近いうちにseismic発のVRユーザー体験を提供できたらな~と切に思ってはおります。VRChatではワールドの設置物にAvatar Pedestal なるものが有り、任意のアバターを登録しておけばお客さんがそこにアクセスしてアバターに着替えることも出来るそうで…それも楽しそうですね。他にもやれることが多くて本当にヤバイ。『夢が広がりング』ってVRChatのためにある言葉だな~と。

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4件のフィードバック

  1. laser より:

    That was a really fun post to read. I had to use a translator but it’s really special seeing someone experience VR after a long time and then also experience his own work in it and realise the value of it.

  2. acill より:

    It was a pleasure to help you with vrchat. Seeing your own models in a virtual space is an experience. I am happy you now understand what VR games offer!

    • myuRanRan より:

      Thank you for helping me.
      Since I am biased, I am not good at changing my own values.
      But VRChat opened my door with powerful power.

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